AIに自社資料を探して答えてもらう — RAG入門

RAGとは、AIが質問に関係する箇所を資料から探し、根拠と一緒に答える仕組みです。公開可能な交流会FAQを例に、資料の選び方、更新日、閲覧権限、出典表示、人の確認を学びます。
この資料は誰向けか
この資料は、交流会、地域団体、学校、福祉施設、店舗などで、次のような悩みがある人向けです。
- 同じ質問へ何度も答えている
- AIにFAQを読ませたいが、何を渡せばよいか分からない
- 古い案内や内部資料を答えに混ぜたくない
- AIの回答に、根拠となる資料名や更新日を付けたい
- 分からないことを、AIに推測で答えさせたくない
今回は、個人情報を含まない公開可能な交流会FAQだけを使います。参加者名簿、電話番号、個別相談の記録、運営者だけが見るメモは対象にしません。
今日できるようになること
- RAGを、難しい専門用語を使わずに説明できる
- AIに探してもらう資料を選べる
- 資料へ更新日と閲覧権限を付けられる
- 回答に出典を表示する形を決められる
- 資料に答えがないときのルールを決められる
- 公開前に人が確認する項目を整理できる
まず結論
RAGは、AIが質問に関係する箇所を資料から探し、その箇所を根拠にして答える仕組みです。
AIへ資料を大量に渡すことが目的ではありません。大事なのは、次の6点です。
- 使ってよい資料を選ぶ
- 資料の更新日を付ける
- 公開・内部・機密の閲覧権限を分ける
- 回答に資料名やURLを付ける
- 答えが見つからなければ「分からない」と答える
- 公開前に人が確認する
RAGを使っても、元の資料が古い、間違っている、閲覧権限が不適切である場合は、良い回答になりません。最初に資料を整えることが必要です。
順番に理解する本文
1. 質問に関係する箇所を探してから答える
通常のAIは、会話の中にある情報や、学習時に得た一般的な知識を使って答えます。RAGでは、その前に指定された資料の中を探します。
たとえば「初めてでも交流会に参加できますか」という質問なら、AIは公開FAQや開催案内から、初参加者について書かれた箇所を探します。見つけた文章を根拠に回答を作り、資料名やURLも表示します。
資料に書かれていない場合は、推測で補いません。「公開資料からは分かりません。運営者へ確認してください」と答えます。
2. 使ってよい資料だけを選ぶ
交流会の公開FAQで使いやすい資料は、次のようなものです。
| 使う資料 | 含める内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 開催案内 | 日時、会場、対象者、申込方法 | 終了した開催回と混ぜない |
| 公開FAQ | 服装、持ち物、初参加、キャンセル | 回答した日と更新日を分ける |
| 会場案内 | 住所、交通手段、駐車場 | 会場変更を反映する |
| 参加ルール | 営業行為、撮影、迷惑行為への対応 | 公開できる範囲だけ載せる |
| 公式申込ページ | 受付状況、料金、締切 | 最新のページを出典にする |
次の情報は、公開FAQ用のRAGには入れません。
- 参加者名簿
- 電話番号やメールアドレス
- 個別相談の内容
- 紹介先や取引先に関する内部メモ
- 未公開の料金や開催計画
- 運営者だけが使うパスワードや管理情報
3. 更新日を付ける
AIは、古い案内と新しい案内の違いを自動で正しく判断できるとは限りません。各資料に、少なくとも次の情報を付けます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 資料名 | 交流会FAQ_公開版 |
| 更新日 | 2026-07-01 |
| 公開範囲 | 公開 |
| 出典 | 公式申込ページ、運営者確認 |
| 確認者 | 運営担当者 |
同じ内容の古い資料は、検索対象から外すか、「過去資料」と明記します。
4. 閲覧権限を分ける
資料は、内容によって3つに分けます。
- 公開: Webサイトや申込ページで、誰でも見てよい情報
- 内部: スタッフだけで共有する手順や連絡事項
- 機密: 個人情報、契約、支払い、パスワードなど
公開向けの回答には、公開資料だけを使います。内部資料や機密資料を同じ検索対象に入れないことが基本です。
5. 出典と更新日を回答に付ける
回答だけでは、利用者も運営者も正しさを確認できません。回答の形を先に決めます。
回答:
初参加について、公開FAQに書かれている内容を案内します。
出典:
- 交流会FAQ_公開版
- 公式申込ページ: [URL]
更新日:
2026-07-01
確認が必要なこと:
最新の受付状況は申込ページで確認してください。
6. 分からないときは、分からないと答える
資料にない質問へ無理に答えると、誤案内につながります。次のルールをAIへ伝えます。
- 資料に書かれていることだけを答える
- 関係する箇所が見つからない場合は推測しない
- 資料どうしで内容が違う場合は、違いを示して人の確認を求める
- 更新日が古い場合は、そのことを回答に書く
- 個人情報を求められても表示しない
7. 最後は人が確認する
公開前に人が確認するのは、次の項目です。
- 質問に合った回答になっているか
- 出典に書かれている内容と一致しているか
- 更新日が古くないか
- 個人情報や内部情報が入っていないか
- 料金、申込期限、会場など重要な情報が正しいか
- 分からないことを推測していないか
具体例 / やってみる
1. 公開FAQ用の資料を3つ選ぶ
まずは、次のような公開資料を3つ以内で選びます。
交流会FAQ_公開版.md開催案内_公開版.md- 公式申込ページ
各資料に「更新日」「公開範囲」「出典」を付けてください。
2. AIへの依頼文を書く
あなたは交流会の公開FAQ案内担当です。
次の公開資料だけを参照してください。
- 交流会FAQ_公開版
- 開催案内_公開版
- 公式申込ページ
質問に関係する箇所を探し、その内容を使って答えてください。
回答には「出典」と「更新日」を付けてください。
資料に答えがない場合は、推測せず、
「公開資料からは分かりません。運営者へ確認してください」
と答えてください。
資料どうしの内容が違う場合や更新日が古い場合は、
回答を確定せず「人の確認が必要」と表示してください。
個人情報、内部資料、機密情報は使わないでください。
3. 3種類の質問で試す
次の3種類を試すと、ルールが機能しているか確認できます。
- 資料に答えがある質問
- 資料に答えがない質問
- 古い資料と新しい資料で答えが違う質問
3番目でAIが勝手に新旧を決めず、人の確認を求めれば成功です。
できたかチェック
- [ ] RAGを「質問に関係する箇所を探し、根拠と一緒に答える仕組み」と説明できる
- [ ] 公開FAQに使う資料を3つ以内で選んだ
- [ ] 各資料に更新日を付けた
- [ ] 公開・内部・機密を分けた
- [ ] 回答に出典を付ける形を決めた
- [ ] 資料にない質問では「分からない」と答えるルールを入れた
- [ ] 内容が食い違う場合は人へ確認するようにした
- [ ] 公開前に人が確認する項目を決めた
次に読む資料
- AIコーディング講習 120分 — AIを使った実装、変更確認、修正、安全な公開までの全体像を学ぶ
- 受講資料の一覧 — 自分の目的に合う次の資料を選ぶ
用語・出典
- RAG: Retrieval-Augmented Generationの略。質問に関係する情報を外部資料から検索し、その情報を使って回答を作る方法
- 検索対象: AIが答えを作る前に探す資料の範囲
- 出典: 回答の根拠にした資料名、ページ、URLなど
- 更新日: 資料の内容を最後に確認または変更した日
- 閲覧権限: その資料を誰が見てよいかを決める区分
参考: