AIエージェント講習 120分 — Codexで頼む・確かめる・残す

Codex初心者が、仕事を1つ選び、小さく頼み、変更点を確かめ、次回も使える手順として残すまでを実践する120分講習。
この資料の読み方
この資料は、AIエージェント講習120分の全体と、その中で行うCodex初級実践を1本にまとめた受講資料です。
覚えることは、次の3つだけです。
- 頼む: 目的、対象、守ること、完成条件を伝える
- 確かめる: 完了報告だけでなく、変更点と実物を見る
- 残す: 使えた依頼文と確認方法を、次回の手順にする
この講習ではコードを暗記しません。最初は、作業用にコピーした資料の見出しや説明文など、自分の目で結果を判断できる小さな仕事を1件だけ扱います。
元データ、本番サイト、顧客情報は練習に使いません。失敗しても困らない作業用コピーで進め、公開、送信、課金、削除、権限変更は人が確認するまで行いません。
この講習は誰向けか
ChatGPTなどへ質問したことはあっても、答えを仕事の成果へ変えるところで止まっている人向けです。
- Codexを初めて使う
- プログラミング経験がなく、専門用語に不安がある
- 資料やWebページを直したいが、壊すのが怖い
- AIの「完了しました」を、どこまで信用してよいか分からない
- 告知、資料、事務、情報整理を少しずつ楽にしたい
- 一度できた作業を、次回も再現できる形で残したい
対象は、地域事業者、学校・講師、福祉施設、個人事業主、地域団体、若い挑戦者です。エンジニアになるためではなく、AIへ任せる範囲を決め、自分で確かめて仕事に使うための講習です。
講習前の準備
講習が始まる前に、ChatGPTデスクトップアプリへサインインし、練習用フォルダと短い文章を入れたsample.mdを用意します。準備が難しい場合は、講師が画面を見ながら一緒に整えます。
120分で持ち帰るもの
講習を聞いて終わりにせず、次の5点を持ち帰ります。
- Codexと一緒に完成させた小さな成果物を1点
- 自分の仕事に合わせた「AIエージェント依頼カード」
- 変更前後を確かめる確認チェックリスト
- うまくいかなかった時の修正・取り消し手順
- 次回、同じ仕事を3〜5手順で進める作業メモ
成果物だけを単独で残さず、次のように一緒に保存します。
AIエージェント講習/
├─ 01_依頼カード.md
├─ 02_材料/
├─ 03_完成物/
├─ 04_確認チェック.md
└─ 05_次回手順.md
講習の全体像
| 時間 | 進めること | その場で作るもの |
|---|---|---|
| 0〜10分 | 今日終わらせる仕事を1つ決める | 今日の完成条件 |
| 10〜25分 | Codexと人の役割を分ける | 任せる範囲 |
| 25〜40分 | 仕事を小さく分ける | 作業の順番 |
| 40〜55分 | 依頼カードを作る | Codexへの依頼文 |
| 55〜60分 | 材料と安全条件を確認する | 入れてよい情報の確認 |
| 60〜70分 | Codexで安全な作業場所を選ぶ | 作業用コピー |
| 70〜90分 | 小さな仕事を1件だけ頼む | 最初の成果物 |
| 90〜105分 | 変更点、テスト、戻し方を確かめる | 確認結果 |
| 105〜115分 | 人が判断し、必要な修正を返す | 採用版 |
| 115〜120分 | 成果物と次回手順を残す | 再利用できる仕事の型 |
0〜10分|今日終わらせる仕事を1つ決める
「AIを勉強する」では、120分後の完成を判断できません。まず、今日終わらせる仕事を1つ選びます。
最初の題材は、次の4条件を満たすものにします。
- 今週または今月に実際に使う
- 材料が手元にある
- 完成したかを自分で判断できる
- 間違っても公開や送信の前に直せる
たとえば「交流会の告知を作る」ではなく、完成条件まで決めます。
7月の地域交流会について、初参加の事業者向けに、Web用300字の案内を作る。日時、場所、料金、申込先を原資料と照合し、公開前の作業用ファイルとして保存する。
個人情報、契約、決済、医療・法律の判断など、間違えた時の影響が大きい仕事は最初の題材にしません。
10〜25分|Codexと人の役割を分ける
Codexは、選んだプロジェクトの材料を読み、作業を分け、ファイルを直し、確認方法を実行し、結果を報告できるAIエージェントです。
ただし、Codexが責任者になるわけではありません。
| 役割 | 主に行うこと |
|---|---|
| Codex | 材料を読む、作業を分ける、下書きや修正を作る、変更点と確認結果を報告する |
| 人 | 目的、権限、守る条件を決め、事実と成果を確認し、採用・公開・実行を承認する |
大切なのは、Codexへ全部を任せることではありません。自分が確かめられる大きさに仕事を分けることです。
25〜40分|仕事を小さく分ける
良い依頼は、長い文章ではなく、確認できる小さな作業に分かれています。
まず、次の5点を書きます。
| 決めること | 記入例 |
|---|---|
| 誰に向けるか | 彦根周辺で告知に困っている小規模事業者 |
| 何の悩みを解決するか | 開催内容が分かりにくく、申込みにつながらない |
| どう行動してほしいか | 内容を理解し、申込ページを開いてほしい |
| どの媒体で使うか | Webサイト |
| 何をもって完了とするか | 300字の下書きと確認表がそろい、人が事実確認を終える |
次に、仕事を3〜5段階へ分けます。
- 元資料から日時、場所、料金、対象、申込先を抜き出す
- 不足情報を「確認が必要」として分ける
- Web用の案内を作る
- 原資料と照合する
- 公開前の作業用ファイルとして保存する
最初のCodex実践では、さらに小さくして1ファイル・1か所から始めます。
40〜55分|AIエージェント依頼カードを作る
Codexへ送る前に、次のカードを埋めます。
- 目的: 何を、どの状態まで良くしたいか
- 対象: どのファイル・どの場所か
- 材料: 何を読んでよいか
- 完成形: 形式、長さ、必要な内容
- 守ること: 変えてはいけないもの
- 人が決めること: 事実、表現、公開、送信、契約など
- 途中で確認すること: 不足情報、変更予定、最初の案
- 完成条件: 何がそろえば完了か
依頼の基本形は、公式のCodexガイドでも示されている「目的・関係する情報・守る条件・完了条件」の4点です。
【目的】を達成するため、【対象】を確認してください。
使ってよい材料は【材料】です。
【守ること】は変えないでください。
分からないことは推測せず、確認が必要として報告してください。
まず変更せずに、作業予定と影響する範囲を説明してください。
私が確認したあと、【完成条件】まで進めてください。
完了時は、変更したもの、確認したこと、未確認のことを分けて報告してください。
55〜60分|材料を安全に扱う
Codexへ渡す前に、材料を3段階で分けます。
| 区分 | 例 | 進め方 |
|---|---|---|
| 緑:使いやすい | 公開済み情報、自作文章、匿名の例、一般的な形式 | 目的に必要な範囲で使う |
| 黄:確認が必要 | 社内資料、顧客事例、学校・福祉の記録、公開前情報 | 匿名化し、責任者と利用範囲を確認する |
| 赤:入力しない | パスワード、APIキー、決済情報、個人の連絡先、病歴、成績、相談記録 | Codexへ渡さず、正式な管理方法を決める |
学校や福祉施設では、実在する児童、生徒、利用者、家族の情報を演習に使いません。公開できる一般案内、架空例、匿名化した手順だけで進めます。
60〜70分|Codex初級:安全な作業場所を選ぶ
ここからがCodexの初級実践です。ChatGPTデスクトップアプリで、次の順番に進めます。
- 新しいタスクを開き、上部の選択から Codex を選ぶ
- 作業するプロジェクトまたは練習用フォルダを選ぶ
- 元資料を残し、作業用コピーを用意する
- 標準の権限と「承認を求める」設定から始める
- すぐ編集させず、最初に場所と対象を確認させる
最初からフルアクセスにしません。Codexが触れられる場所を作業フォルダへ絞り、外部への接続や範囲外の操作が必要な時は、内容を読んでから許可します。
最初の画面で確認する5点
| 確認すること | 初回の例 |
|---|---|
| 作業する場所 | 練習用にコピーしたフォルダ |
| 直したいもの | sample.mdの最初の見出し |
| 触らないもの | 本文、数字、名前、リンク、ほかのファイル |
| 完了条件 | 指定した見出しだけ分かりやすくなる |
| 確認方法 | 変更前後の比較と実際の表示 |
まだ変更させず、最初に次のように頼みます。
このフォルダの目的と内容を短く説明してください。
まだファイルは変更しないでください。
初心者が安全に試せる「1ファイル・1か所」の修正を3つ提案してください。
それぞれ、
1. 対象ファイル
2. 現在の内容
3. 何が良くなるか
4. 確認方法
を報告してください。
対象と現在の状態が自分の想定と違う場合は、この段階で止めます。
70〜90分|小さな仕事を1件だけ頼む
最初は、資料の見出しや説明文など、結果を目で確認できる1件を選びます。
目的:
初めて読む人にも、資料の内容がすぐ伝わるようにする。
対象:
sample.mdの最初の見出し1か所だけ。
変更:
専門用語を使わず、40文字以内の見出しにする。
触らない範囲:
本文、数字、名前、リンク、画像、ほかのファイルは変更しない。
完了条件:
対象の見出しだけが変わり、意味と事実情報は変わっていない。
確認:
変更後に、変更前、変更後、変更したファイルを報告する。
公開、外部送信、コミット、プッシュはしない。
一度の依頼は、一つの目的に絞ります。「文章も画像もデザインも全部」は、変更点を自分で確認できるようになってから行います。
90〜105分|変更点、テスト、戻し方を確かめる
「完了しました」という文章だけで判断せず、実際の変更点を見ます。
変更点を見る
- 頼んだファイルだけが変わっている
- 頼んだ1か所だけが変わっている
- 数字、名前、日付、リンクが勝手に変わっていない
- パスワードや個人情報が追加されていない
- 公開や外部送信が行われていない
今回の変更を確認してください。
まだ追加修正はしないでください。
頼んだ範囲以外に変更がないか、
数字、名前、日付、リンクが変わっていないかを確認してください。
問題があれば、場所と理由だけを報告してください。
既存の確認方法を使う
テストは、変更後も必要な動きが保たれているかを確かめる作業です。コマンドを推測させず、README、AGENTS.md、既存の設定から確認方法を探します。
このプロジェクトで既に使われている確認方法を調べてください。
新しい確認方法を勝手に追加せず、関係する既存の方法だけを実行してください。
実行できない場合は、理由と、人が代わりに確認する項目を報告してください。
Webページなら、ページが開く、新しい文言が見える、リンク先が変わっていない、PCとスマホで文字が切れていないことまで確認します。
分からなくなったら止めて戻す
修正を重ねるほど分からなくなった場合は、さらに指示を足しません。
いったん作業を止めてください。
まだファイルは変更しないでください。
今回の依頼で変更したファイルと内容を一覧にし、
今回の変更だけを元に戻す方法を説明してください。
説明を読んで対象を確認したあと、今回の変更だけを元に戻します。元に戻ったか判断できない場合は採用せず、残しておいた作業用コピーからやり直します。
105〜115分|人が判断し、必要な修正を返す
最後は、人が次の5点を確認します。
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 事実 | 日時、料金、場所、名称、数字、出典が原資料と一致しているか |
| 相手 | 専門用語から入らず、対象者の悩みから伝わっているか |
| 安全 | 個人情報、秘密情報、誤解や不利益を招く表現がないか |
| 権利 | 画像、文章、商標、引用を使ってよいか |
| 行動 | 読んだ人が次に何をすればよいか明確か |
修正は「違います」だけで終わらせず、現在・期待・残す条件を伝えます。
現在:
見出しの「業務効率化」という言葉が、初めての人には難しく感じます。
期待:
この部分だけを、一般の事業者にも分かる言葉へ直してください。
残す条件:
本文、日時、料金、申込URLは変えないでください。
確認:
変更後に、変えた箇所と変えていない事実情報を分けて報告してください。
「正しいか」「伝わるか」「本当に使うか」は、人が決めます。
115〜120分|成果物と次回手順を残す
完成物だけでなく、次回の進め方も保存します。
今回の作業を、次回も再現できる短い手順にまとめてください。
次の5項目で書いてください。
1. 目的
2. 使用した材料
3. Codexへの依頼文
4. 確認したこと
5. 次回の最初の一歩
専門用語を使わず、初めての人でも読める文章にしてください。
作業前後の時間、修正回数、困った点を1行ずつ記録します。毎回1点だけ整えると、無理なく続く仕事の型になります。
持ち込み課題の例
- 地域事業者: イベント告知、商品説明、FAQ、問い合わせ返信の下書き
- 学校・講師: 保護者向け一般案内、授業資料、公開できる学び直し教材
- 福祉施設: 一般的な職員手順、公開サービス案内、確認表
- 個人事業主: サービス説明、相談後の要点整理、見積前の質問表
- 地域団体: 行事案内、議事メモ、参加者向けの持ち物案内
- 若い挑戦者: 企画書、発表資料、ポートフォリオ説明、次に試す小さな計画
実在する顧客、児童、生徒、利用者の個人情報は持ち込まず、公開情報または匿名化した材料を使います。
よくあるつまずき
| つまずき | まず行うこと |
|---|---|
| 何を頼めばよいか分からない | 困っている仕事を1つ選び、完成条件だけを書く |
| 頼んでいない場所まで変わった | 追加修正を止め、変更したファイルを一覧にする |
| 専門用語の報告が読めない | 日常の言葉で、変更前後と次に見る場所を説明させる |
| テスト方法が分からない | READMEや既存手順から探し、推測で新しい方法を増やさない |
| 元へ戻せるか不安 | 元資料を残し、作業用コピーまたはGitの変更点から確認する |
| 公開してよいか判断できない | 公開せず、人が事実・画面・URLを確認する |
受講後チェック
- [ ] 今日終わらせる仕事を1つ決めた
- [ ] 元資料と作業用コピーを分けた
- [ ] パスワードや個人情報を材料へ入れていない
- [ ] Codexが作業するフォルダを確認した
- [ ] 修正内容を1ファイル・1か所に絞った
- [ ] 目的、対象、完成形、守ることを書いた
- [ ] 変更前に現在の状態を確認した
- [ ] 変更されたファイルと変更点を確認した
- [ ] 既存のテストまたは確認方法を実行した
- [ ] 問題があれば修正または取り消しを判断した
- [ ] 公開、送信、課金、削除、権限変更を人が判断した
- [ ] 依頼文、完成物、確認結果、次回手順を一緒に保存した
12項目を確認できたら講習は完了です。最初から全自動を目指さず、実際に使える仕事を1つずつ増やします。
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用語
- Codex: プロジェクトの材料を読み、ファイルの作成・修正、確認方法の実行、結果報告まで進められるAIエージェントです。
- 作業用コピー: 元の資料や本番環境を守るために、練習や修正用として複製したものです。
- 変更点: 変更前と変更後の違いです。Codexの報告だけでなく、実際のファイルや画面を見ます。
- テスト: 変更後も必要な内容や動きが保たれているかを確かめる作業です。
- 完成条件: 何がそろい、誰が何を確認すれば完了かを表した条件です。
- 人の確認: AIの報告を読むだけでなく、原資料、成果物、画面、URLを人が実際に確かめることです。
公式確認
- OpenAI: ChatGPTデスクトップでCodexを使う
- OpenAI: Codexを使う時の基本
- OpenAI: 承認と安全設定
- OpenAI: Windows版ChatGPTデスクトップアプリ
この教材は、Codexへ仕事を丸投げする方法ではありません。人が目的と責任を持ち、Codexへ小さく頼み、結果を確かめ、次も使える形で残すための実践資料です。